よく晴れた夏の日だった。
それもかなり暑い・・・
道の木々からはうるさいぐらいにセミが鳴いていて、とても蒸し蒸しした、そんな日。



ENCOUNTER



当時5歳だった。
生まれ持っての頭の良さで昔のことは結構覚えていたりする。
そのとき、母は俺にこう言ったのだ


『お父さんが部下を連れて来るって。ちゃんといい子にしててね』


同い年の子供に比べると、[いい子]にしてたし、手のかからない子供だったろうが。
親父のお気に入りらしいその部下のことを、母も気に入っているらしくかなり機嫌が良かった。
鼻歌を歌いながら、台所で食事を作っている母を不思議そうに見つめていた記憶がある。

ちょうど料理が出来上がった頃、父が帰ってきた。


『タダイマ〜 オーイ!!シカマルーー!!』


玄関から聞えてくる父の声。
思わず母を見上げて、「お迎え、行ってあげて」とでも言うように笑った母親のそばから、玄関に向かって走り出す。

ドタバタと走っていくと父以外の見知らぬ影。
思わず急ブレーキをかけ立ち止まった。


「ただいま、シカマル。こっちこいよ」


そう父に言われ、おずおずと父のそばに寄り、靴を脱ぐ父越しにチラっとその人物を見た。
今でこそそうでもないが、当時の俺はかなりの人見知りだった。


「アスマ、コイツが俺の倅。ホラ、挨拶しろ」

「・・・、ハジメマシテ」


出来るだけ目を合わせないように、空をさまよう目線。
アスマ、と父から呼ばれた、当時まだ十代だった青年は五歳児だった俺にはがたいが良すぎた。
背も高く、服越しでも鍛えていることがわかる。
それに加え、任務帰りだったため、服に点々と血の跡
おびえるなというほうが無理がある。

俺の様子に気がついたのか、タバコをくわえたままニカっと笑い


「ああ、スマンスマン。これじゃああんまりだよなあ」


そういうと、血の付いていたベストを脱いだ。
そして大きい手を伸ばし、親父の背に隠れていた俺の頭を撫で


「初めまして。猿飛アスマってんだ。よろしくな、坊主」


笑った顔がとても悪人には見えなくて。
何年たっても笑った顔は変わらなくて。

それ以来、アスマとの交流は続いている。




「なあ、アスマー。俺たちが始めてあったときのこと覚えてるか?」


パチン、と心地よい音をたてながら盤に押し当てられた飛車が相手の「王将」を狙っている。王手まであと二手。
突然なに言い出すんだ、と不思議そうに、次の手を考えていたらしい頭を上げた。

もうムリだって。アスマが勝つ手なんてねえよ。


「は?ああ、奈良さんに家に連れて行ってもらったときか」

「そう。俺、アスマが恐かったんだ・・・」

「ま、血が付いてりゃ子供じゃなくても引くわなあ」


パチン、と音が鳴る。
王手まであと一手。


「アスマはどう思った?俺のこと」

「お前にしちゃ珍しいこと聞くなあ」

「たまには良いだろ。んで?どう思った?」

「そうだなぁ・・・」


アスマは短くなったタバコを灰皿に押し付け、「おらよ」とコマを進める。

捕らえた


「王手」

「はぁ?!!おい待て、待った!!」

「嫌だ。何回待ったと思ってるんだよ。もう十分だろ」


ジャラジャラとコマをかき集め、箱に収める。
いまだうなっているアスマに、ハイ、お終い。とでも言うように盤に箱を乗せた。


「お茶、飲むか?」


茶をとってこよう、立ち上がろうとした俺の腕をアスマが掴む。


「あん時、俺はよお――――」






ヤッパリ、聞くんじゃなかった・・・・








顔を真っ赤にしながら、台所に急いで走っていった。









2004/02/16
うおお、2時間ぐらいでかき終わった。
珍しい。
珍しすぎる。
コレ、「お父さんといっしょ」のお題のつもりで書いていったんだけど。違う、よ、ね?
あ〜れ〜?
でもどうせなので「走る」のお題にしてしまいます。
行き当たりばったりだ(爆)

どうでしたか?
肝心なところは伏せてあるというなんともいやらしいss。
シカ視点の、私にしては珍しいss。
感想なんかをbbsにカキコミしてくれたりしてくれたら、かなり嬉しいんですが・・・・。
どうなんでしょうね。
全然反応がないから、不評なのかそうでないのか全く解りません。
反応がないってことは、不評なのかしら・・・
ガーン





















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