ずっと見守ってきた
里から忌嫌われているアノコを

アレは自分だ
アソコデ理不尽ナ暴力ヲ受ケルアノコ
アノコと自分は何も変らない

自ラノ柵カラハ、誰モ抜ケダス出来ナイ

ただ、少し環境が違っただけ

ただ少しの違いが、二人の道を別った

同じようで違う
もう一人の自分

自分への懺悔、アノコへの懺悔
そういうつもりは毛頭ないが

アノコが自分のように道を違えぬ様

祈る

見守り続ける
そしてこれからも
































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風が振動する。
その振動が鼓膜を震わせ、ゴオッ、と脳に音を伝える。まだ昼間だと言うのに、辺りは薄暗く、吹き荒れる風は肌に突き刺さるように冷たい。木々は撓り、枯葉は舞い上がった。

その冷たく早い空気が太陽の下にある雲を押し流し、その間からつかの間の晴れ間が広がった。

その下を転がってゆく金色の点
日の光が反射し、きらきらと輝き揺れる金色の絹糸。

じっくりと見ると点でなく、子供で。
タタタと軽快に走ってゆくソノコ。
光の中に居る、その光がその子供の傷を浮かび上がらせる。

光と影

白い肌に痛々しいまでの赤。
走る赤い線からはポタポタと液体が流れだし、頬は片方だけ腫れている。

しかし、それと対照的に目は澄んだ宇宙のように深い
深く、吸い込まれる

また、それが痛々しい。










里の大人が忌み嫌う子供を一人見続ける

一つの影

葉と散らしていない木の上に、その葉に抱かれるように出現したその小さい影は、黒い髪を風に任せ、幹に身体を預けた。
座り込んだその身体は未発達。背も小さく、身も薄い。里を形成する忍たちのような装備は何一つ身に付けていない。
身を包む服も一般の子供たちとなんら変らない。しかし、足元だけは普通の履物ではない。子供は脚半を履いたその小さな足をぶらつかせていた。

どこにそのような力があるのか

留まっているのは木の天辺近く。その木は通りを何処までも見渡せる。
近くには身を縮ませながらも幸せそうに歩いてゆく人々が。そして遠くには代々の火影の顔が彫られた火影岩。
見渡せるそこで子供は考える。

四代目・・・、あなたの息子がこんなことになるとは露とも思っていなかったでしょうに

他になにか方法は無かったのか
そう思わずにはいられない。あの子を見ていると。

止め処無く流れてゆく思考の波に、段々と意識が飲まれてゆく


それを邪魔するように人影。実際は邪魔なと入る隙間はないが。誰か止めてくれ、と願うときも無いわけではない。自分が生きている限り、鬱陶しいことにこの思考能力は衰えることを知らず流れ続けるのだろう。諦めたのは何時の事だったか。
幹が撓るどころか木の葉さえも動かさず、傍らに現れた人物の左目は、しっかりと額当てによって隠されていた。身に付けているのは里支給のベスト、幹に付いている手にはしっかりと手甲がはめられている。風に靡くは銀糸。
そちらにちらりと視線を向け子供は嫌そうに眉を寄せた。
「や。久しぶりシカマル」
シカマルはアカデミーに入学し、暗部の実行部隊の仕事からは手を引いた。身に纏わり付く血のにおいは薬で誤魔化しても鋭いものには気付かれる。会うことは滅多に無かった。
カカシは感情を素直に顔に表した子供に苦笑いして、隣の子供が見つめている先を辿った。金色が人と人の間を縫うようにしてチョコチョコと進んでゆく。ただ見つめるだけ。二人の間には下からの人々の活気のある声と風の音のみが存在した。

相変わらず、風は冷たい。

どれだけの間そうしていただろうか
キラキラ輝く金色が見えなくなった頃、カカシの隣に身動き一つせずチョコンと座っていたシカマルがやっと口を開いた。
「なんか用?」
尚も目線は真っ直ぐ。口調ははっきりと。だが心は此処に在らず。流れ出した思考は留まることを知らず、いつまでも回転し続ける。
長時間風に当たっていた頬は赤く高潮し、吐き出す息は白い。
「いつまでそうしてるつもりかなと思ってさ。寒し、いい加減にしないとね」
足元の人の流れをじいと見ている子供に諭すように語り掛ける。いつの間にやら雲は散らばり、冬の太陽が緋色に染まっていた。
「ああ・・・・」
だらりと垂らされていた腕を動かし、吹かれるままにしていた髪を指ですく。黒く細い髪は絡みに絡み、指の進行を簡単に許してはくれなかった。今はどうにもならないだろう。気分がどうにも乗らないと、纏めもせずにそのままにしておいた自分が悪い。
諦めのため息をつき、億劫そうに立ち上がる。
安定が悪い細い枝、風の吹き荒れる上空。そんなところにまだアカデミーに入って間もない子供が立っていられるわけが無い。
暗部の仕事を辞めた。そのかわりにたっぷりと時間が出来た。
たっぷりとある時間と、辞めた仕事で培った能力を駆使し、今日もあの子を見守る。

今日も家にたどり着けるように

何もしない。
ただ見ているだけ。

それは卑怯と言われるかもしれないけれど。
自分には手出しは出来ない。

ただただ、祈る
早く強くなって
そして自分を傍らに、傍にいかせておくれ
と。

影は只管に光を求める
決して自らは光には成れないにも拘らず
それでも求めずに居られないのは、やはり自分も人間だからか

ずっと見守ってきた
里から忌嫌われているアノコを

アレは自分だ
アソコデ理不尽ナ暴力ヲ受ケルアノコ
アノコと自分は何も変らない

自ラノ柵カラハ、誰モ抜ケダス出来ナイ

ただ、少し環境が違っただけ

ただ少しの違いが、二人の道を別った

同じようで違う
もう一人の自分

自分への懺悔、アノコへの懺悔
そういうつもりは毛頭ないが

アノコが自分のように道を違えぬ様

祈る

見守り続ける
そしてこれからも































fin





























▽2004/2/18
スレてる必要あったのか、とかいう突っ込みは無しで。
なんかチョットナルシカ書きたくなった。
シカナルだろっとかいう突っ込みも無しで。
そして短いのよな。
ああ、スミマセン。
文章うまく纏まらん。
元々表現力ない人間だからな。
しかし、暗い・・・かな?
暗い?ねえ暗いですか?



ステキナルシカサイト様が増えて幸せ。
人の影響を受けすぎなぐらい受けてしまっておりますよぉ。
















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