―commission―





「はい、確かに。報告書、お預かりします。お疲れ様でした」


「おう。お前もな、イルカ」


「あの〜、アスマさん。ちょっとお願いが・・・」


「ん?」





「ええええっ?!!!シカマルがアカデミーの講師――っ?!!!」


「正確には代理だがな」


机から身を乗り出してしまっているナルトに苦笑しながらアスマは答えた。
机の上には未消化の書類が積みあがっている。


「万年ドベ2だったシカマルが?!!」


「うっせーよっ!!いい加減黙りやがれっこの馬鹿!」


てめえだって万年ドベだったくせしやがって、とナルトに向かって叫ぶ。


「お前ら相変わらず元気だなー」


「頼むよシカマル。いま高等暗号解析学の先生が任務中で講義できないんだ」


「えー・・・、メンドクサイ」


心底嫌そうに眉根を寄せる。


「いいじゃんシカマル。どうせ暇だってばよ?」


「暇じゃあない」


「まあまあ。いいじゃねえかシカマル。やってやれば。ていうか、お前らのぐらいの歳の上忍で、生徒もってないのが特殊なんだよ」


言い争いを始めそうな二人をアスマが言い宥めた。
現にサスケやいの、シノなどはすでにアカデミー生や下忍の指導に当たっている。
若くして里のトップに付いたナルトとシカマルはアカデミーでの指導などとは縁がなかった。


「頼むよシカマル。特殊な科目だし、いい人材が見つからなくて」


「いい人材が見つからないからって、火影の側近にその話を持ってくるイルカ先生も先生だってば」


「おお、確かに」


アスマがナルトに相槌を打った。
そういわれて気がついたのか、イルカが顔を赤くして答える。


「いやあ、なんか元生徒だと思うとなあ」


「誰がなんと言おうと、やらねぇぜ。そんなめんどくさいこと。それに、俺、誰かに教えるのとか向いてないし」


「そうなのか?」


アスマは初耳、とでも言うように聞き返す。


「前にいのが聞きに来たけど、結局なんか怒られたし」


そのときのことを思い出し、シカマルはため息する。


「なにやらかしたんだ?」


「俺はただ


『見れば解るじゃん』」


ナルトの声とシカマルの声が被る。
声のほうへ向いたシカマルに、ナルトはにやっと笑った。


「だって、シカマルがいっつも言ってるってばよ。解析部とか参謀部とかの人と話してるときとかさあ。何度言っても解ってもらえないときって、結局シカがキレちゃって会議ストップするんだよな〜」


ほんと迷惑〜、俺だけ取り残されてさあ。とナルトが文句を垂らす。


「それに、『見れば解る』って、全然教えたことになってないし」


「シカマルよお。人と自分が同じだと思ってたら大間違いだぞ?いい加減自覚しろ」


アスマとナルト、両方から突っ込まれ、考え込むように首を捻る。


「考えれば解ることだし。教えるなんてめんどくせえし。それに俺・・・」


「俺?」


今度はナルトが首をかしげる。


「俺、普通だもん」


キッパリと言い放ったシカマルに、ナルトがあんぐりと口をあける。
アスマは「やっぱりな」という風にタバコをふかしていた。


「こっの・・・っ馬鹿!!!IQ200もあるクセしてなんでわかんねえんだってばよ!!」


それに、だもん、ってなんだっ!


プルプルとこぶしを震わせながら怒鳴るナルトをシカマルは無視し、自分の目の前の書類に目を通す。


「いい加減現実逃避するのやめろよなお前・・・。ったく」


「あのぉ、それで依頼の件は・・・・?」


どんどん話がずれていくのをじっと見守っていたイルカが口を挟む。
ナルトとアスマが、あ、という表情を浮かべた。それを見たシカマルが残念そうに舌打ちをする。


「お断り・・・」


「イルカ先生!!安心してってば!!!俺が責任を持って、シカマルにやらせるってばよ!!!」


シカマルの声を遮り、ナルトが高らかに宣言した。


「はあ?!!おい、ちょっとま・・・」


「ホントか!!助かるよ〜。じゃ、ヨロシクなシカマル!!」


今度はイルカがシカマルの声を遮る。
じゃ、頼むな、とさっさと部屋を出て行ったイルカの背を請負人は呆然と見送った。

はっ、と我に帰り扉に向かってシカマルが叫んだ。


「おい!!」


嵌められた、とシカマルの顔が引きつった。


「だああっ!!!くっそーーーっめんどくせえーーー!!!」


天井に向かって突如叫んだかと思うと、キッとナルトのほうを睨み


「ナルトっさっさと仕上げやがれこの大馬鹿野郎っ!アスマっいつまでここに居やがるっ!!とっととどっ
か行きやがれこの年中発情期髭熊っ!!!」


殺気を含んだ、しかし内容はかなり低レベルな怒声にナルトは身体をビクつかせ、慌てて止まっていた手を動かす。


「はいはいはいっ!!!」


その様子をじっと見ていたアスマに光る物が放たれる。
ドスっ、という音がアスマの直ぐ後ろの壁から鳴り響く。位置はちょうどアスマの首辺りで。

アスマが目線を泳がせると、その先には顔に笑みを浮かべている、しかし目には妖しい光がともっている軍師の顔。


やっべ・・・、本気で切れてやがる。


「じゃじゃあ、ナルト!!頑張れよ!!」


さっさと姿を消したアスマに


「あっ先生ズルイってばよっ!!!っひっ・・・・」


「ナルト?手が止まってるぞ」


普段では考えられないほどの満面の笑みを浮かべるシカマルに、背中を詰めたい汗が伝う。


「はいっ!!仕事しますっもうこんな事しません!!!」


山積みにされていた書類はこの日のうちに全て片付けられ、この時以来書類が溜められることは無くなった。
アスマはというと、数日後、長期任務を命じられ、二月間その姿を確認することは出来なかった。



イルカに依頼された解析学の授業は、一般の忍たちにも広く公開された。
アカデミー生にも解り易く講義し、尚且つレベルが高い。ということで評判が評判を呼び、それ以来定期的に講義を受け持つこととなった。




が、それはまた別のお話・・・





2004年2月10日完結

うおおおっ!!なんか、どうなんでしょうね・・・?
シカマル怒らすと恐いよ?て話?
ナルト弱っ火影のくせに。
イルカ先生が一番肝座ってるかもしれない(笑)
まあ、とりあえず、短編、ということで。
私が書くとどうしても長編になりがちですので、完結するお話は珍しい。貴重です。
これからもちょくちょく書けたらいいな☆
年齢設定としてはナルト・シカマルが23とか。
火影に就任して1年ぐらい?
なのでイルカ先生は普通にナルトに接してしまいます。
ナルトの周りはそういう人がイッパイ〜。容赦ないです。
「火影だから何さっ」て感じですかね〜。いいよね、そういう和気藹々な感じが。

CPとか、入ってるのかなあ・・・。ナルシカとアスシカ、かな?ま、無くてもいける。





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