暗闇の中に蠢く

獣の面を付けた影

その体、極めて小さく。その姿、極めて華麗。


しかし、真の姿を知るものは誰もいない。



















暗闇に躍る






















火影の執務室の前。
そこに佇む一つの人影。
背はひょろりと高く、かといって細い、というわけでもない。
髪はプラチナ、そして片方の目は額当てで隠されていた。

その名、畑カカシ

木の葉でも数本の指に入る、腕利きの忍。
幼き頃からあらゆる仕事を手掛け、車輪眼の持ち主でもある。
飄々としたつかみ所の無い性格はその「天才」と呼ばれた生い立ちゆえなのか
自ら進んでこの人物に声をかけようというものは辺りにはいなかった。


「入りなさい」


外の気配を感じたのか、中から老人の声がした。


「失礼します」


そう声をかけ、進んでいった先。
声をかけた人物こそ、この木の葉の最高峰。火影である。
火影の周りにはダレもおらず、少々無用心ではないのか、という感が否めない。
しかし、これから話される内容を考えるとそれも仕方がなかった。


「カカシよ、また下忍認定を許可しなかったそうだな」


咎める風でなく、しかし呆れたように声をかけた。
それにけろっとカカシは答える。


「だって、仲間を見捨てるようなやつに忍をする資格なんて無いじゃないですか」


悪びれも無くそう言った彼に、ふう、と一つため息し。


「まあよい。今日読んだのはその事ではない」


「任務ですか」


きっ、と一瞬にして雰囲気を変えた。


「そうじゃ。暗部として働いてもらう」


「俺一人ですか?」


「いや、今回はもう一人一緒じゃ。ソヤツと相談した結果、人数が必要な場合は言ってくれれば用意する」


「誰なんですか?」


「今までずっと一人でやってきたヤツじゃ。知らぬお主ではなかろう?」


企み顔を浮かべた火影を食い入るようにカカシは見つめた。



「まさか・・・」



数年前から聞えてきた噂。裏に属する暗部が分からぬ事実。
『凄腕のヤツが暗部に入ってきたらしい』
その姿を見たものはおらず、任務達成度は100%。
常に一人で行動する。
年齢はおろか、女か男か、それすらも分からない。


そいつの組むのか・・・
中々面白そうじゃないの


天才ゆえの性分なのか、そういうスリルを味わうことがキライではない。
能力の高い者と組めることはこの上なく楽しい。


「そのまさかじゃよ。おい」


火影が空に向かって声をかける。


「っ!!」


突然カカシの背後から現れた、足元から、徐々にズズズと出現した気配。
それもわざと出していることが分かる。暗部の気配というのはそう簡単に気がつくものではない。
しかも、凄腕、と称されるもののものは。


カカシが振り向くまでも無く、すばやく火影の傍らに移動したその人物。
獣の面を付け、体を覆うのは黒い布。暗部なら誰しもが纏うその空気。
だが、一つ違う点と言えば人物の大きさ。



「子供・・・?」



大人にしては小さすぎる。子供、しかもまだかなり幼い。
カカシ自身も若い頃から暗部の所属していた身だが、それでも十は超えていた。
目の前にいる子供は明らかにそれ以下。
しかも、その名の噂が聞えたきたのは2年ほど前。
その事実にカカシの背に汗が伝う。
殺気も出していない、が、その凄みに圧倒された。


こんなことも久々だ・・・
里にこんな化け物が隠れていたとは


「カカシ、お主には今回こやつと組んでもらう。部隊長は・・・・、カカシのほうが良いじゃろう」


カカシの様子を面白そうに見ていた火影が子供のほうをちらっと見、そう告げる。
その言葉に子供も頷いた。
おもむろにその面を外す。

その下から現れたのは、幼すぎる顔。九つに届くか届かないか。
しかも、その顔をカカシは知っていた。
親友宅を訪れた際に、彼と遊んでいたのは彼ではなかったか。



「シ・・・、シカマル・・・?」



素っ頓狂な声を出したカカシにニヤっと笑みを浮かべ、今まで放っていた凄みが和らいだ。


「久しぶり。カカシさん。今回はよろしくお願いします」


「あ、いや、ほんと・・・。久しぶりだねぇ」



呆然とし、言葉がたどたどしいカカシに軽く会釈をする。
確かに最近忙しく、親友猿飛アスマの家には訪れていなかったが。
まさかこんなところで会うなんて。
確かに初めて見たときから、年齢にしては大人びた子だ、とは思った。
だがしかし、こんなことがあるとは。



まだまだ、この里は奥が深い



「任務内容に関してはこの巻物にしるしてあるとおりじゃ」


ハッと我に返り、投げられた巻物を受け取った。火影が頷いたのを見て、カカシはその場で巻物を紐解いた。
すばやく目線を走らせ、一瞬にして内容を頭に叩き込む。
そしてその内容に目を細めた。




「・・・、暗殺、ですね」


「その通り。じゃが人物が人物。人選には苦労したぞい」


髭を撫でながら、ふうと息を洩らす。
暗殺対象は最近悪名高い風の国の大名。依頼主は火の国国主。
一般の忍に任せられる仕事では到底無かった。





失敗は許されない。





誰にも知られること無く、任務を完了させる必要があった。


「このようなことが無かったら、カカシとシカマルを会わせることも無かったじゃろうに。すまんの」


「いえ、いいですよ。いい機会ですし」


特に気にした風もなく、それどころかにや、と笑う。


「この際ですから、とことん使わせていただきます」


「それってどういうこと?!大体君は何なのさ!アスマは知ってたわけ?!!」


「知ってますよ?」


それが何か、とでも言うようにけろりと言い放つ。
どうでもいいことのように。


「アスマめ・・・・っ」


フルフルと震えるカカシにいつもの面倒くさそうな雰囲気を纏わせてシカマルは話す。


「俺は別に言ってもいいと思ったんだけどさあ。その方が色々とやりやすいし」


「じゃあなんで」


「『黙ってたほうが、あとが面白いだろ』って」


「あの熊・・・っ!!」
殺してやる!!


「おい、こら待てカカシよ!!」


ザっとチャクラを漲らせ、瞬時に消えていったカカシに届くはずはなく、火影の言葉も空しく部屋に木霊した。
変りに部屋にはため息が漏れた。


「・・・・。じゃあ、暗部を五人ほど貸してしてください。詳しい内容はまた明日にでも」


「おお、頼むぞ」


面を被りなおし、隠れるわけでもなく窓から悠々と出て行った子供を見送り、ポツリと火影は言葉を洩らす。


「大丈夫かのう・・・」
腕は良いんじゃが。精神年齢が低くてかなわんわい。





里の行く末を預ける若者達を暖かく見守る。
それが火影の役目。






















2004/2/17

どうせなので、たぶん今までに無かったであろう、スレカカシカなんぞを書いてみよう!!
と思い立つ。キット楽しい。ええ、楽しいともっ!!
一日一作ペースで書けたらいいなあ・・・
まあ、予定は未定!!


それにしても中途半端だなあ。
シリアスで進行してたはずなのに。
シリアスじゃないよな。
そして、ジャマするアスマさん。
短いしな!!
なんかかき足りない。
またそのうち書き直しかもしれません・・・・
ガハっ

シリーズっぽくなる、はず。
そのうちにカカシとの絡みもあるでしょう。
お楽しみに〜☆
励まし、叱咤のお言葉待ってます。
そうすれば、急ピッチで仕事が進むはず。
時間だけはたっぷりとある、春休み中の大学生。






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