『今日の夕飯は何にしよう』
主婦が毎日ぶち当たる壁に、今まさに直面している男が一人。

そもそも、本当ならばこんなことで悩む必要はなかったはずなのだ。
仕事があれば、自分の不摂生を知っている同期があれやこれやと食料を仕事場に置いていくし、無ければ家で食べるという話なのだが。今日は仕事も無く、家に母もいない。
作れないことは無い。
むしろ、そこいらの人間よりは上手くできる自信はある。家にある食材を有効につかって、作り上げることは可能だろう。
だが、問題は。
家に食材が無い、ことなのだ。
幼馴染の親達と夕飯を一緒に食べるから、と出て行った母親は冷蔵庫内に全く何も食料を置いていってくれなかった。一人息子に対して、これはあんまりではないのか。



どーしよっかなー・・・



別に食べなくてもいいかな、という考えが頭を過るが一応忍として仕事をしている以上、出来うる限りの隊長管理はしなければなら無い、と一応思っている。
かといって、このまま母の思惑通りに買い物に出かけるのも嫌だ。
きっと、買い物から帰ってきたら作る気力などどこかへ吹っ飛んでしまって、そのまま寝るだろうことは予想がつく。
では、どこかへ食べに行けばいいだけの話なのだが一人で行くのは億劫で。
要するに、切欠が無いがためにうだうだと時間が過ぎていっているのだ。
開けっ放しの縁側からはすこし暑さが和らいだ風が吹き込む。空も、まだ夕暮れに早いが日の光は段々と弱くなってきている。
風が肌を撫でてゆき、寝るのには気温も丁度良い。




やべ・・・、寝そう・・・














はっと目を開ける。
自分の予想通りに寝入ってしまったらしいことに呆れる。
縁側からは相変わらず涼しい風が吹き抜けているが、外は真っ暗だ。
ぼーっと外から聞える虫の音に耳を傾けていたが、そういえば、自分の身体にタオルケットがかけていることに気がつく。
寝てしまった頃には家には誰もいなかったはずだ。
それに、自分が寝てしまっていた部屋は真っ暗だが、閉めてある扉の向こう側から明かりがかすかに漏れている。
それに人の気配。
父や母ではない、よく知った、知りすぎた気配。

掛けてあったものから抜け出し、暗い中を光に向かって歩く。
かすかに食べ物のにおいがする。

「あら、シカマル。起きたのー?」

「おー。てかよー、いの。勝手にひとんちに上がってくるなよ・・・」

台所で何やら料理をしているいのの背中に向かってそう言い、自分は食卓イスに座る。

「勝手にじゃないわよー。おば様に頼まれたんだから!」

包丁を持ったままシカマルのほうにくるりと向きをかえる。

「それからあんたねえ!いい加減自分で体調管理しなさいよ!!めんどくさがって食事抜いたりしてるからへなちょこなんじゃないっ!あんたになんかあるたびに呼び出されるのってすっごく迷惑―っ」

今にも手に持った包丁を投げようかというような剣幕で一気に捲くし立てる。

「へーへー」

「まったくもー。ほらー、もう直ぐできるから御飯ついでよ」

「おー」

席から立ち、棚から食器を取り出す。

「おい、いのー。お前は?」

「食べるわよ。うちも親いないんだから」

「はいはい」

いのの家でもやはり娘は放置されたらしい。飲み会のたびに放置される娘と息子は大迷惑だ。
何故か奈良家に置いてあるいのの茶碗と取り出すと、炊飯器から程々に炊きたての御飯をもっていく。
自分の茶碗にも幼馴染のものより若干多くご飯をもり、食卓に向かい合わせで置く。

「これも持っていってー」

「おー」

味噌汁と箸をもって、台所と食卓を往復する。箸を箸たてに立て、味噌汁はそれぞれの場へおくと、そのままいつもの定位置に腰を下ろす。
いのが大皿にお手製の肉じゃがをもって、二人の間におく。そして、自らもシカマルの向かい側に腰を下ろした。

「はい、ドウゾ!」

「イタダキマス」

「いただきまーす」





箸を手に取り、思うが侭に動く二組の箸。






「そういえばさあ・・・」

「んーー?」

「チョウジはどうしたんだろうね?」

「・・・、飢え死にしてはしてねえだろ」

「チョウジだもんね・・・」

「そうそう、チョウジだからな」


















「いのー」

「なあにー?」

「サンキュー」













































Fin







▽2004/06/20
二日で書きました。
短いくせに。
いのちゃんすきだー!!
がんばれがんばれ。
シカマルのいいい姉ちゃんでいてください。
いのしか、しかいの、じゃないです。一応。
姉弟、姉弟だよ!!大プッシュ。











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